親族や友人から結婚の報告を受けるととてもうれしい気持ちになり、「ご祝儀を渡したい」と思う人も多いでしょう。ただ、家族みんなで結婚のお祝いをしたい場合、ご祝儀の金額などで悩むケースは多く見られます。この記事では、家族でご祝儀を包む場合の相場や、ご祝儀袋の選び方、表書き・中書きの正しい書き方などについて解説していきます。
そもそもご祝儀とはどのようなもの?
ご祝儀の意味や基本的な事柄などを押さえておくと、お祝いするときの参考になります。そもそもご祝儀とは、お祝いの儀式を表す言葉です。しかし、現在では、結婚のお祝いとして渡す金品のことを指すのが一般的といえるでしょう。
ご祝儀を準備する側としては、「適切な金額はどれくらいか」という点が気になるところです。
ご祝儀に関しては、ご新郎ご新婦が結婚式でゲストをもてなすのに必要とされる食事代・会場費に加えて、お祝いする気持ちとして金額をプラスするのがマナーとされています。
そのため、結婚式に出席するにもかかわらずご祝儀を渡さなかったり、あまりにも安い金額を渡したりするのは、非常識にあたるといえるでしょう。
但し、会費制の結婚式に招待された場合、ご祝儀は不要です。会費制結婚式とは、あらかじめ決められた会費をゲストから集めて、その費用をもとに行う結婚式のことをいいます。
したがって、会費制結婚式では、結婚式に参加すること自体がご新郎ご新婦に対するお祝いの気持ちの表れといえるため、ご祝儀を渡さなかったからといって失礼にあたることはありません。
しかし、特別仲のいい友人などに会費制の結婚式に招待されたときには、「何かしてあげたい」と思う場合もあります。そのような場合には、ご祝儀を用意するのではなく、別途プレゼントを贈るという方法も検討してみると良いでしょう。
家族で出席する場合のご祝儀はどれくらいが妥当?
家族で結婚式に出席する場合、「ご祝儀を包むのであれば、どれくらいの金額が妥当か」という点で悩む場合が多く見られます。基本的には、「1人で出席する場合のご祝儀×人数分」がご祝儀の相場と考えて良いでしょう。
但し、ご祝儀を包むのであれば、偶数にならないように気をつけなければいけません。お祝い事では、「奇数はおめでたい吉の数字、偶数は凶」という考え方があります。
これは、中国の陰陽思想にもとづくものといわれています。そのため、慶事にあたる結婚式では、ご祝儀の金額が偶数にならないように気をつけることがポイントです。
たとえば、夫婦2人で出席する場合は、5万円が相場となります。しかし、親族でご新郎ご新婦ととても仲が良い場合や、自分たちのほうが年上という場合には、8~10万円がご祝儀の金額の目安です。
また、家族で結婚式に出席するときには、小さなこどもがいる場合もあるでしょう。小さなこどもと一緒に出席するのであれば、ご祝儀の金額を考えるときの人数にそのままカウントしなくても良いとされています。
小さなこどもを大人と同様に人数に含めず、ご祝儀として包む金額は少し少なめでも問題はありません。
たとえば、夫婦2人と小さなこども2人の4人で結婚式に出席する場合、夫婦2人分で5万円、それにこども2人で2万円の合計7万円のご祝儀を包めば良いといえるでしょう。
万が一、ご祝儀の金額が少ないと感じるのであれば、ご祝儀に加えてプレゼントを用意しておくなどの方法もあります。
ご祝儀袋は金額に合った適切なものを選ぶこと!
ご祝儀袋は、格に応じてさまざまなデザイン、種類のものがあります。しかし、「ご祝儀袋はどれでも好きなものを使ったら良い」というわけではありません。ご祝儀袋の選び方を間違えてしまうとマナー違反となってしまう恐れがあるため、気をつけましょう。
まず、ご祝儀袋のデザインに着目してみましょう。ご祝儀袋には、印刷のみの簡易的なものから、華やかな飾り結びのある格の高いタイプのものまで、さまざまなものが販売されています。これらのなかから、金額や目的などに応じて適切なご祝儀袋を選ぶことがポイントです。
ご祝儀袋の種類で迷ったときには、包む金額によって適したものを選ぶ必要があります。家族でご祝儀を包む場合、一般的に5万円や、8~10万円など、高額になるケースがほとんどです。
結婚式で使うご祝儀袋を選ぶときには、のしと水引がついたものを選ぶのがマナーといわれています。
まず、のしはかつて縁起物とされるあわびを紙に包んで使用していました。しかし、現在では簡略化され、のしあわびを模した飾りが使われています。
次に、結婚式で使うご祝儀袋の水引は、「結び切り」または「あわじ結び」のものを使うのがマナーです。たとえば、5万円を包むのであれば、和紙を使ったもので、のしや水引が立体的なデザインのご祝儀袋を選ぶと良いでしょう。
さらに、5万円以上の金額を包む場合は、檀紙を二段重ねにして、松や鶴などの飾りがついた華やかなものを選ぶのが理想的です。
表書きと中袋はどうやって記載する?
ご祝儀袋を渡す場合、表書きと中袋の記載の仕方にも気をつけましょう。家族が数名で結婚式に出席してご祝儀を渡すとき、ご祝儀袋には世帯主の名前のみを代表として記載する、もしくは連名にするのが一般的です。
表書きは、人数によって書き方が異なります。まず、世帯主など1名の名前を記載する場合は、水引の下の中央部分にフルネームで記載します。名前の文字の大きさは、表包みの「御結婚御祝」や「寿」などの文字よりも少し小さめに書くのがポイントです。
次に、夫婦連名にする場合は、右側に夫の名前、左側に妻の名前を書きます。もしくは、中央に苗字を記載して、右側に夫の名前、左下に妻の名前を記載しても構いません。
このとき、妻の苗字は不要です。但し、事実婚などでそれぞれの姓が異なるなどの事情がある場合には、表書きは夫婦ともにフルネームで記載すると良いでしょう。
加えて、連名にするのであれば、3人までにするのがマナーです。表書きを連名でする場合、右側から夫、妻、こどもの順に書いていきましょう。
複数のこどもと一緒に結婚式に招待されているときには、ご祝儀袋の表書きには世帯主など家族の代表者の名前を記載し、その横に「他家族一同」などと書き添えるようにすると、すっきりとした見た目となります。
また、中袋には、郵便番号や住所、氏名を記載します。中袋の氏名を連名にする場合は、表書きと同様に、右から夫、妻、こどもの順に記載していくと良いでしょう。
複数のこどもと一緒に出席するなどの事情から、表書きに「他家族一同」と書き添えた場合は、別の紙に結婚式に出席する家族の名前を記載したものを用意して中袋のなかに入れておきましょう。
家族みんなで新郎新婦の門出を祝福!
ご祝儀を準備するときは、「毛筆や筆ペンを使わなければいけない」や「字があまり上手く書けないから苦手」、「マナーが難しいからよくわからない」など、何かとネガティブに捉えられる場合もあります。
しかし、ご祝儀で最も大切なのはお祝いの気持ちです。そのため、家族で結婚式に参列する場合は特に、ご祝儀の相場も理解したうえで経済状況なども考慮しながら、無理のない範囲内で金額を包むことも必要です。
また、ご新郎ご新婦の門出を家族みんなで祝福するために、必要最低限のマナーは押さえておきたいものです。
結婚式で受け取ったご祝儀袋が金額と見合っていなかったり、表書きの書き方が間違っていたりすると、それだけでご新郎ご新婦が困惑してしまう可能性さえあります。
したがって、ご祝儀を渡す場合は相場だけでなく、ご祝儀袋の選び方や表書き・中袋の記載の仕方などをしっかりと押さえておき、ご新郎ご新婦へのお祝いの気持ちを表現しましょう。