結婚式や披露宴に欠かせないものといえば、お花ですよね。花は、ブーケや髪飾りとして花嫁の美しさを引き立てるだけではありません。会場のいたるところに飾られて、ふたりの結婚式を華やかに彩ってくれます。一言で花といっても、さまざまな種類や色があるため、飾る花によって式場の雰囲気を思い通りに演出することが可能です。とは言え、現実的には予算も気になるところでしょう。この記事では、会場に飾る装花の選び方や、予算内で収めるためのポイントについて解説していきます。
会場を飾る装花にはこだわりたい
一般的に、花を使った装飾は結婚式では欠かせないものです。結婚式や披露宴の会場を装飾する花を、総称して「装花」と呼びます。
もともとは業界用語として使われていた言葉ですが、今では結婚式の打ち合わせでもよく使われる言葉になりました。
装花には、新郎新婦を引き立てるほかにも、チャペルや披露宴会場を飾り、お祝いごとらしく華やかにする役割があります。
装花は目立つ場所やゲストの近くにも飾られるため、結婚式全体のイメージを左右する重要なアイテムです。卓上の装花は、ゲストに対するお土産にもなります。
結婚式には当たり前のように寄り添っている装花ですが、実はこれらのメインカラーや実際に使う花材、それぞれのボリュームは、基本的には新郎新婦の意向に沿わせることが可能です。
それゆえに、憧れの結婚式を彩るためにも、ゲストに楽しんでもらうためにも、装花はこだわりたいポイントの一つとなるでしょう。ただし、装花はただ豪華にすればいいという単純なものではありません。
もちろん華やかさは大切ですが、それ以上に大切なのは、ふたりの希望と予算のバランスを上手にとり、納得のいくトータルコーディネートに仕上げることです。
装花が使われる場所はどんなところ?
結婚式で使われる装花といえば、花嫁のブーケや花婿のブートニアのイメージが強いかもしれませんね。たしかに、いずれも結婚式では重要な役割を持つ装花です。
ところが、装花はそれ以外にも、会場のいたるところで使われています。具体的には、以下のようなシーンで使われることが多いでしょう。
チャペルの祭壇やフラワーシャワー
挙式会場には、随所に装花をあしらう場所があります。たとえば、チャペルの祭壇であれば、中央やサイドに花を飾ることで、ふたりの誓いの儀式をよりロマンティックに演出することができるでしょう。
また、装花には参列者が座る椅子や、バージンロードの装飾も含まれます。
参列者が座る椅子の装花は「チェアフラワー」と呼ばれ、バージンロード側の椅子につけるのが一般的です。これによって、新郎新婦が通るバージンロードをより華やかに際立てることができます。
さらに、バージンロードそのものに使われる装花は「フラワーバージンロード」と呼ばれ、花びらで道をかたどったり、全体に敷きつめたりする演出が人気です。
また、フラワーガールがまく花びらや、フラワーシャワーで使う花も装花に含まれます。花には、祝福のほかに悪い気を祓う「お清め」の意味もあるので、ぜひ取り入れたい演出のひとつです。
ただし、自由度の高い披露宴に比べて、挙式の場合は形式を重んじる教会やチャペルも少なくありません。そのため、会場によっては花の種類や飾れる場所をはじめ、演出が制限される可能性があるので、事前に確認しておくといいでしょう。
披露宴会場のテーブルや高砂
披露宴会場では、新郎新婦が座る高砂に装花が置かれます。披露宴会場の中で一番目立ち、ゲストからも注目される場所のため、高砂にメインの装花がくるのが一般的です。
そのほかにも、ゲストテーブルに飾る花や、受付やウェルカムボードに飾る花も装花に含まれます。それぞれの場所で、色味や使う花材をメイン装花に合わせれば、全体的に統一感が出るでしょう。
目立ちやすい高砂のメイン装花や、ウエディングケーキの周りにあしらわれる装花は、特に華やかにするのがポイントです。
また、ゲストテーブルに飾る花には、参列してくれたゲストへのおもてなしや感謝の気持ちが込められています。
最後はゲストに持ち帰ってもらうことができるので、ある程度華やかなデザインにするといいでしょう。
さらに細部までこだわりたい場合は、ケーキ入刀に使われるナイフに花をあしらったり、司会者や主賓が使うマイクに花を添えたりすることで、さりげなく彩りを加えることができます。
両親への花束やブーケ・ブートニア
装花には、花嫁のブーケや花婿のブートニアも含まれます。ちなみに、ブートニアというのは男性が胸元につける花のことです。
この2つのアイテムは、ヨーロッパに古くから伝わる慣習がもとになっており、男性がプロポーズする際に女性に渡す花束が、ブーケのはじまりだったといわれています。
一方でブートニアは、プロポーズを受け入れた女性が承諾の合図として、花束から1輪を抜き取って男性に手渡したことが由来となっています。
そのため、新郎が身につけるブートニアは、ブーケに使われる花と統一感を持たせるのが一般的です。
新郎新婦のブーケ・ブートニアは、挙式とお色直しで種類を変えることもあります。
また、披露宴の終盤で、両親に花束を贈ることもあります。花束は、自分の両親に渡す場合と相手の両親に渡す場合で、異なる意味合いを持ちます。
「今までありがとう」とこれまでの感謝を伝えたい場合は、自分の親に渡すのが一般的です。それに対して、「相手を幸せにします」と覚悟を伝えたり、「これからよろしくお願いします」という挨拶の意味を兼ねるのであれば、相手の両親に渡すといいでしょう。
誰に渡すかに厳密な決まりはないため、お互いの両親の気持ちを考慮した上で、新郎新婦がふたりで話し合って決めることができます。
装花に必要な予算はどれくらい?
一般的に、装花にかかる費用は10~15万円前後が目安です。ただし、あくまでも目安なので、会場の大きさやゲストの人数によって費用は変動します。
さらに、ブーケの大きさ・デザイン、使う花材・装飾する場所の数、装飾の仕方などによっても、必要な費用が変わってくるでしょう。
最初のプランは最小限の内容になっていることが多いため、打ち合わせを進めるうちに物足りなく感じるかもしれません。
だからといって、雰囲気やデザインを優先してランクアップしていると、あっという間に予算を越えてしまう可能性もあるので注意しましょう。
また、「持ち込み」にも注意が必要です。式場が提携している花屋ではなく、外部の花屋や知人・友人に装花を依頼することを「持ち込み」といいます。
会場によって持ち込み自体が禁止されていたり、持ち込めても「持ち込み料」がかかる場合があるので、持ち込みを検討している場合は要注意です。
装花に使われる花にはどんなものがあるの?
装花に用いられる花材には、大きくわけて2つあります。
1つ目は、オールシーズン手に入る花です。たとえば、主役級の花ではバラやユリなどがこのタイプです。
特に、バラは品種の多い花なので、形はもちろん、色合いやサイズなどさまざまなバリエーションの中からふたりに合ったものを選ぶことができます。
赤いバラであれば「あなたを愛しています」、白いバラであれば「深い尊敬」などのように、品種や色によって異なる花言葉を持つので、花が持つ意味合いに着目して選ぶのもいいですね。
大輪で純白の花を咲かせるユリも、存在感がありながらつつましい印象を抱かせるため、装花として人気を集めています。
そのほかにも、カラーやガーベラ、かすみ草などは一年中手に入るため、季節を問わず装花として使われています。これらの花は、主役を引き立てる花としても、メインの花としても使える万能な花材です。
2つ目は、季節ごとの旬の花材です。
たとえば、春であれば芍薬やラナンキュラスなどの華やかな花が人気です。いずれもロマンティックな雰囲気が魅力の花で、春らしい淡い色からはっきりと濃い色のものまであるので、用途や好みに合わせて色合いを選ぶことができます。
チューリップやアネモネ、ライラックなども春が旬の花です。春は年間でみても特に花の種類が豊富なため、幅広い選択肢の中から選ぶことができます。
夏であれば、明るく爽やかなひまわりや、リゾート感を演出してくれるアンスリウムやデンファレなども人気です。
秋の場合は、コスモスやダリヤ、カトレアなどが旬の花でしょう。冬は花のイメージがないかもしれませんが、春と同じくラナンキュラスやチューリップが流通しています。
季節によっては使用が難しい花もあるため、装花を選ぶ際には、オールシーズン使える花なのか、旬の季節しか手に入らない花なのかに注意が必要です。
装花のコーディネートを考えるポイント
装花のコーディネートを考えるときは、まず、会場の雰囲気に合わせてメイン装花のカラーや花材を選びましょう。
憧れの花やふたりにとって特別な花がある場合は、その花をメインとしてコーディネートを考えてもいいかもしれませんね。
いずれにしても、メインカラーによって全体の印象が左右されるため、新郎新婦が思い浮かべるイメージと合わせることが大切です。
たとえば、お姫様のようにスイートでフェミニンなイメージに憧れるなら、ピンクを基調にするといいでしょう。
上品な雰囲気が希望なら、白やグリーンをメインにすることで会場をスタイリッシュにまとめることが可能です。
また、同じ色合いでも使う花材によっては印象が変わるため、組み合わせ次第で理想通りのイメージを演出することができるでしょう。
新婦のブーケや新郎が胸元につけるブートニアの場合は、衣裳の色やデザインを考慮した装花がおすすめです。
予算内で賢く装花を選ぶポイントとは
装花を使う場面はさまざまです。たくさんの場所に飾ったり、花材にこだわりすぎると予算をオーバーしがちなので、予算に限りがある場合は、ポイントを押さえて力を入れるといいでしょう。ときには、節約テクニックも必要になります。
予算に合わせて優先順位をつける
すべての装花にこだわると、予算が高くなりがちです。そのため、予算に制約がある場合は、優先順位を決めるといいでしょう。
たとえば、ゲストからの注目度が高い場所や、写真に残る場所は記憶に残りやすく、結婚式の印象を左右するため、優先度は高めです。
また、ゲストの滞在時間が長い場所も印象に残りやすいため、優先したほうがいいでしょう。特にこだわりたいのは、高砂のメイン装花や、ゲストとの距離が近いゲストテーブルの装花です。
一方で、グラスやケーキナイフなどの小物につける花は、カットしてしまっても雰囲気にあまり差が出ないため、優先順位は低めです。
生花以外のアイテムを活用する
会場の華やかさを損なわず、かつ節約したいのであれば、生花以外のアイテムを活用するのがおすすめです。
生花以外のアイテムとして、リボンやバルーンがあります。特にリボンは結ぶものであることから、「ふたりの愛を結ぶ」として縁起のいいアイテムです。
素材や太さ、色などの種類も豊富で、結び方のバリエーションもたくさんあるので、花にあしらうことでボリュームを出すこともできるでしょう。
また、色とりどりのリボンを短く切って蝶々結びにすれば、フラワーシャワーの代わりにリボンシャワーとして活用することも可能です。節約にもなりますし、花びらのように踏んで床を汚さないというメリットもあります。
バルーンも色や種類が豊富にあるため、使い方を工夫すれば生花の量を抑えつつ、会場をおしゃれに演出することができます。
もちろん、高砂にも使えます。リボンやバルーンは安価でありながら、生花に代わって式場を華やかに彩ってくれる優秀なアイテムです。
また、ゲストテーブルには、ほかにもテーブルランナーやキャンドルを使う方法もあります。ゲストから遠い場所であれば、思い切って生花より安価な造花を使うのもおすすめです。
最近では、パッと見ただけでは生花と見分けがつかないクオリティの高い造花もあるため、積極的に取り入れてみるといいでしょう。
花材にこだわりすぎないように
予算を抑えたいのであれば、花材選びにもコツがあります。たとえば、旬の花を使うかどうかによっても、装花の値段は大きく変わります。
旬の花は値段が高くなりがちなので、使うとしてもポイントを絞って、あとはオールシーズンの花を選ぶといいでしょう。
グリーンのように、比較的安価でボリュームの出しやすい花材もあるので、上手に取り入れたいところですね。
また、メインカラーや全体のテーマを決めて、具体的な花材はプランナーに任せる方法もあります。このとき、予算を一緒に伝えておくと、予算内に収まりやすいでしょう。
なお、青や紫の花はもともとの数が少なく、季節によってはさらに選択肢がなくなる傾向があります。したがって、メインカラーを青や紫にすると値段が上がりやすいので注意しましょう。
予算が少なくても大丈夫!アイディア次第で華やかに
結婚式や披露宴では、さまざまな場面で装花が活躍します。装花は結婚式の印象を左右する重要なアイテムですが、生花に頼りすぎると予算オーバーしがちです。
限られた予算でも華やかな雰囲気にしたい場合は、ちょっとしたアイディアで節約を感じさせない演出をすることができます。
場所によっては造花を取り入れたり、花以外のアイテムを使ったりして、華やかさはそのままに、理想通りの結婚式をつくりあげましょう。