新郎新婦の縁を結び、両家の絆をつなぐ結婚式。その場にいるすべての人々が幸せになれる特別なセレモニーですが、人生の三大支出「住宅購入資金」「教育資金」「老後資金」に次いでまとまった金額が必要になります。
結婚式をおこなうと出費が多くなるため、親からの資金援助やご祝儀をいただくことは大変ありがたいことです。しかし、お祝いとして受け取ったお金の扱いに悩む方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、結婚のご祝儀や資金援助にかかる税金について詳しく解説いたします。「贈与税が気になる」「援助を受ける上での注意点を知りたい」とお考えの方はぜひ参考にしてください。
贈与税とはどんな税金?どのような場合に払うもの?
個人が保有している財産を譲り受けたときにかかる税金を「贈与税」といいます。贈与税の対象になる主なケースは次のとおりです。
- 自分で支払いをおこなっていない生命保険等の満期保険金
- 保険契約者と受取人以外の第三者が保険料を負担していた保険の死亡保険金
- 個人から財産をもらった場合
- 株式や不動産、ゴルフ会員権などを対価なしでもらった場合
- 親族から無利息で金銭を借りた場合
- 「出世払い」や「ある時払いの催促なし」といった賃借
- 著しく低い価額で財産を譲り受けた場合
贈与税は、その年の1月1日~12月31日までに譲り受けた財産の合計金額に対して課税されます。したがって、1年間に譲り受けた財産の合計金額が110万円以内であれば課税されることはありません。
結婚のご祝儀や結婚資金は贈与税が非課税
前述したように、贈与税は贈与を受けたすべての財産に対して発生します。ただし、ご祝儀や結婚資金は「社会通念上相当であると認められるもの」に該当しているため、非課税扱いになります。この場合、確定申告や納税の必要はありません。
では、結婚関連でいただくお金には税金がかかるのでしょうか。それぞれの税金について、ひとつずつ見ていきましょう。
結婚式の費用を支払ってもらった場合
結婚式や披露宴などの費用を親が支払った結婚資金などの援助も、贈与税は発生しません。結婚式費用の支払いを親が負担したことになるため、非課税の対象になります。
結婚式は、新郎新婦だけでなく両家にとっても大切な一大イベント。結婚式費用を支払ってもらう際は、感謝の気持ちをきちんと伝えましょう。
結納金も非課税、ただし注意が必要
結納金は、結納の際に男性側が女性側に対し、「結婚生活に向けた準備資金」として準備するお金です。贈与税がかからない財産と認められているため、常識範囲内であれば贈与税は発生しません。
とは言え、結納金を結婚準備以外で使用すると贈与税の課税対象になるので注意が必要。また、相場金額を超える高額な結納金や、結納金の受け取り方によっては贈与税が発生するケースもあります。
勤務先から結婚のご祝儀をもらった場合
通常、給与などを受け取る際は「所得税」がかかります。一方、勤務先から恩恵的に支給される祝い金は、社会通念上相当と認められる金額の場合、課税しなくていいものとして取り扱われます。
勤務先からの祝い金は3~5万円が一般的。相場金額からかけ離れていて判断が難しい場合は、税理士や税務署に相談するのがよいでしょう。
ご祝儀や結婚資金であっても、贈与性の課税対象になる可能性がある
非課税とされる結婚のご祝儀や結婚資金の援助ですが、ケースによっては課税対象になる可能性があります。とくに以下のようなケースでは注意が必要です。
- 1:社会通念上相当を超える高額なご祝儀や援助
- 2:銀行振込によってご祝儀や援助を受け取った場合
- 3:法人や個人事業主として受け取った場合
- 4:チップとして受け取った場合
1と2のような場合において、110万円を超える金額を受け取るケースもあることでしょう。110万円を超える額は贈与税の課税対象になります。ただし、「結婚・子育て資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置」に該当する場合は例外です。
「結婚・子育て資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置」とは、父母などから、結婚や子育てに関する贈与が非課税になる制度です。受贈者は18歳以上50歳未満、結婚資金は300万円まで非課税になります。
この制度を利用するにあたっては、専用口座の開設や領収書提出など、さまざまな手続きが必要になります。また、非課税の対象となる結婚資金には決まりがあり、指輪代やエステ代など対象とならないものもあるため注意しましょう。
金融機関への手続きや非課税対象の確認を誤ると、結婚祝いが贈与税の課税対象になる可能性があります。ご祝儀や結婚資金を受け取る前(渡す前)には、手続きについて確認するようにしてくださいね。
結婚のご祝儀や資金援助は原則非課税!ふたりで話し合って有意義に使おう
結婚祝いにかかる税金や資金援助を受ける際の注意点について解説いたしました。贈与税は個人が保有している財産を譲り受けたときに発生しますが、ご祝儀や祝い金など、一般的な相場からかけ離れていない限り、原則非課税扱いになると考えてよいでしょう。
しかし、親族からもらった結婚資金やご祝儀に対し、金額によっては贈与税がかかることもあります。「非課税措置を利用するのを忘れていた」「せっかく援助を受けたのに税金がかかってしまった」といったことがないよう、大きなお金を受け取る場合は、事前に税理士などの専門家に相談することをおすすめします。
新郎新婦の門出をお祝いしたい気持ちの表れとして、ご祝儀や資金援助があります。結婚を祝福してくださった方々に感謝しつつ、新生活に向けて有意義に使わせてもらってはいかがでしょうか。