結婚式でおふたりの門出を祝して渡すご祝儀には、いくつかのマナーがあります。お札の入れ方やご祝儀袋の選び方などを間違えてしまうと、マナーが悪いと判断されてしまうこともあるでしょう。おふたりに気持ちよくお祝いを渡せるよう、ご祝儀のマナーについて知っておくことが大切です。そこで、ご祝儀のお札の入れ方やご祝儀袋の使い方、さらに、周りと差がつくご祝儀袋の選び方まで詳しく紹介します。
結婚式のご祝儀のお札は新札で!
結婚式でご新郎ご新婦に渡すご祝儀は、新札を用意するのがマナーです。
新札への両替は、銀行でしておくのが確実で正しい方法でしょう。銀行によっては受け入れてくれない場合もありますが、多くの都市銀行では新札への両替に対応しています。
銀行の窓口に古いお札を持っていき、新しいお札に交換したい旨を伝えると簡単に両替できます。但し、銀行の窓口が開いているのは平日の午後3時までの店舗がほとんどですので、時間には注意しましょう。
また、銀行の窓口が混んでいるときや時間がないときには、両替用ATMを使う方法もあります。
銀行には両替用ATMと呼ばれる機械が設置されていることがあり、古いお札を入れると新札に交換が可能です。窓口に行く必要がありませんので、時間がないときでもすぐに両替できます。
しかしながら、銀行や店舗によっては両替機能を持つATMがない場合もあります。さらに、両替用ATMも平日にしか使用できません。
機械の故障などで両替用ATMが使えないこともありますので、窓口での両替が確実です。そのため、結婚式の出席を控えているのであれば、日程に余裕を持って両替をしておきましょう。
銀行での新札への両替は、数枚程度であれば無料で行ってくれることが多くみられます。50枚までであれば無料という銀行も多く、それ以上であれば手数料がかりますので気をつけましょう。
もし、どうしても時間が作れず、銀行で両替ができなかったという場合には、結婚式が行われるホテルや式場のフロントでも、新札に交換してくれることがあります。
ホテルや式場のフロントでは、新札の数に限りがあることが多く、不足してしまっていることも考えられますので、事前に問い合わせてみるのがいいでしょう。
ご祝儀の基本的な入れ方をマスターしよう
ご祝儀袋に入れるお札は、向きや入れ方が決まっています。市販されているご祝儀袋の多くは、水引きがついたご祝儀袋の中に封筒のような中袋が入っています。
この場合、中袋はすでに折られている状態ですので、お札の向きにだけ注意して中袋にお札を入れましょう。
お札の向きは表書きをするほうに、お札の表側が向くように入れます。また、お札に描かれている人物が上にくるように入れることも大切です。
また、上包みは、下側が上に重なるように折ります。これは「福が逃げないように下から受ける」という意味を込めています。
内袋の表には入れた金額を書き、裏にはご祝儀を渡す人の郵便番号と住所、氏名を記載します。もし、ご祝儀を渡す人の名前を書いていない場合には、誰から受け取ったのかわからなくなることもあるでしょう。
ご祝儀を受け取った人が後で整理をするのに困らないよう、記載しておくのがマナーです。このときに使用するペンは、筆ペンでなくても問題はありません。濃い黒インクであればサインペンも使用できます。
表の金額は「金○萬円」と書くのがマナーであり、数字は旧字体の「壱・弐・参」などを使用するのが正式な書き方です。書きあがったら内袋をご祝儀袋に戻しましょう。
その際、上包みの水引きなどがついている表面と中袋の金額が書かれている表面の向きを合わせることが大切です。最後に水引きなどを元通りにします。
中包みを用いる場合のご祝儀の包み方
市販されているご祝儀袋の多くには封筒状の中袋が入っていますが、中包みを使ってお札を入れる方法もあります。
中包には「奉書紙(ほうしょがみ)」を使用しましょう。奉書紙というのは和紙の一種であり、白くてしっかりとしているのが特徴です。
かつて、幕府が公文書用の紙として使用していた歴史をもつ奉書紙は、大事な要件を伝える際や、祝詞などの神事にも使われています。
奉書紙でご祝儀を包む際には、まず、奉書紙の裏を上にし、角が自分のほうを向くように置きましょう。お札の表が上になるようにし、中央よりやや下に横向きに乗せます。そうすることで、最終的にお札の表がご祝儀袋の表にくるのです。
お札の下側の紙を折りあげ、さらに、お札の両サイドの大きさに合わせるように左から右の順に折りましょう。上側の紙をお札の幅に合わせて包むように折りたたみ、余った部分は内側に折りこみます。
このとき、裏返すとお札に描かれている人物が表になります。最後に、左上に折り返した部分の空きがくるようにすれば完成です。
ご祝儀の場合には、必ず折り返しの空き部分を左上に作るようにしましょう。右下に空き部分を作ってしまうと弔事用になりますので注意が必要です。
奉書紙で包んだ場合でも、表面に金額、裏面には郵便番号と住所、氏名を記載しておきます。ご祝儀袋に入れる際も、中包みの金額がかかれている面と、上包みののしがついている面の向きを合わせましょう。
ご祝儀袋を選ぶときのマナーとポイント
ご祝儀袋の選び方にも正しいマナーがあります。結婚式で渡すご祝儀袋には、華やかでおめでたいデザインを選びましょう。ご祝儀袋にはさまざまなデザインがありますので、ご新郎ご新婦の好みに合ったものを選びましょう。
おふたりが目上の場合や、格式の高い結婚式に出席する場合にはスタンダードな白のご祝儀袋を選びます。袋の右上にはのし飾りがつき、あわじ結びや結び切りの水引きがついているものがいいでしょう。
水引きの色は金か銀、赤を選ぶのがマナーです。水引きにはいくつかの種類がありますが、あわじ結びと結び切りは、一度結ぶとほどくのが難しい結び方といわれています。
生涯で1度きりのお祝いであるようにといった願いを込め、結婚式ではあわじ結びや結び切りの水引きが選ばれるようになりました。
また、結婚式のシチュエーションや季節などを考えると、ご祝儀袋が選びやすくなります。ご新郎ご新婦が神社婚を行う場合であれば、和風の祝儀袋を選ぶのもいいでしょう。
大正モダンをイメージさせる、大ぶりの花が描かれたようなご祝儀袋であれば、たくさんのご祝儀袋の中でも目をひきます。新しいデザインのものを安っぽいと感じる人もいるかもしれませんが、厚みのある和紙素材を選ぶと高級感も感じられるでしょう。
一方で、チャペルで結婚式を行う場合にはレースなどがあしらわれたご祝儀袋もあります。洋風のレースと、水引きがマッチしたご祝儀袋などもあり、伝統的でありながらもかわいらしい印象を与えるでしょう。
さらに、春には桜、秋には紅葉をデザインしたものなどを選ぶと季節感も感じられます。
ご祝儀袋は、お祝いに使用するものですので質素すぎるものではなく、できるだけ明るく華やかなデザインを選ぶのもポイントです。
但し、中に入れる金額に見合うご祝儀袋を選ぶ必要もあります。少ない金額であるにもかかわらず、ご祝儀袋ばかりが目立ってしまうような豪華なデザインは、失礼にあたりますので注意が必要です。
できるだけ早めに準備して万全にしておこう
ご祝儀袋に入れるお札は新札がマナーですので、ご祝儀袋だけでなく中に入れるお札の準備もしておく必要があります。
そのうえで、マナーを守った華やかなご祝儀袋に包んで渡します。ご祝儀袋のデザインは豊富に用意されていますので、ご新郎ご新婦のイメージや結婚式の季節に合わせたご祝儀袋を選ぶのがいいでしょう。
結婚式の直前に慌てないよう、ご祝儀袋と中身は前もって用意をしておくことが大切です。心を込めてご祝儀を包み、おふたりの門出をお祝いしましょう。