せっかく結婚式の準備をしていたのに、親族に不幸があったら延期すべきか悩んでしまうでしょう。実際、不幸が原因で結婚式を先送りにするケースは珍しくありません。しかし、そんなときは延期する時期や連絡方法に気をつかいましょう。この記事では、万が一、身内の不幸が原因で結婚式を延期する際の注意点について解説します。
喪中の範囲と結婚を控えたほうがよい期間
親族に不幸があり、喪に服している時期を「喪中」といいます。そして、喪中の間は結婚式を延期するのが基本的なしきたりです。ただし、結婚式を延期するのはたいへん手間がかかりますし、楽しみにしてくれていた人たちの期待を裏切ることにもなります。
そのため、結婚式を延期するのは「2親等以内の不幸があったとき」とするのが目安です。ちなみに、1親等は本人か配偶者の親、子供。そして、2親等は本人か配偶者の兄弟、姉妹、祖父母です。
また、兄弟か姉妹の配偶者も2親等にあたります。ただし、3親等以上の親族が亡くなっても、必ず式を予定通り行わなければいけないというルールはありません。状況に応じて、遠い親戚の喪中期間でも式を延期することはありえます。
なお、喪中が意味する期間は、亡くなった相手によって変わります。親が亡くなった場合の喪中は12~13カ月ほどです。子供は3~12カ月程度、兄弟か姉妹は1~6カ月程度です。
祖父母の喪中は3~6カ月程度が一般的でしょう。しかし、これらの数字も絶対的なものでなく、悲しみが大きい場合には喪中も長くなる可能性があります。何をもって喪中が終わるという決まりはなく、家によって期間は長くも短くもなるでしょう。
ただ、喪中の間はお祝い事を控えるようにするのは共通認識として受け継がれています。結婚式はさまざまなイベントの中でも特に「おめでたい」とされているものなので、喪中での決行は避けるのが無難でしょう。また、結婚式への出席も喪中の間は断るのが常識です。
入籍と結婚式はどちらも延期すべき?
「結婚」とは、入籍と結婚式をまとめて指している場合があります。そして、身内に不幸があったときには、式だけでなく入籍も延期するべきかで迷う人は多いでしょう。まず、入籍の場合、予定通り行うかどうかは新郎新婦や一族の判断に委ねられます。
中には、喪中の入籍を控えるカップルがいるのも事実です。しかし、喪中に入籍を行うカップルも珍しくありません。なぜなら、入籍は純粋なお祝い事と断定できないからです。
入籍とはあくまで戸籍上の手続きであり、とりたててお祝いをしているわけではありません。カップルによっては、喪中でもとりあえず入籍だけ済ませてしまおうと考える人もいます。
また、亡くなった人物によっても喪中の捉え方は変わります。祖父母が長寿をまっとうした場合など、一概に不幸とは言い切れません。それに、祖父母が孫の結婚を心待ちにしていた可能性もあります。
入籍が祖父母に対する供養になるとカップルが思うなら、延期をしなくても非常識な行動にはならないでしょう。
一方、結婚式の場合は喪中期間の行動について制限がかかりやすくなります。なぜなら、結婚式は大勢が集まってカップルを盛り上げるお祝い事なので、喪中にはふさわしくないイベントとされるからです。
家によっては、喪中をあまり気にしていないときもあります。身内が亡くなっても、家族一致で予定通り式を挙げたがるケースもゼロではないでしょう。しかし、身内が結婚式を望んでいても招待客までそうとは限りません。
むしろ、喪中にもかかわらず式を挙げる家を不謹慎だと感じることが多い傾向です。ゲストに心からお祝いしてもらうには、喪中に結婚式を挙げないようにするのが賢明です。
すでに結婚式を決めてある場合は?
すでに結婚式の日程が決まり準備も終わって当日を待つだけの段階になってから、親族に不幸が起きたときは悩みどころです。延期にするのが無難な選択肢ではあるものの、会場をキャンセルしたり、ゲストに連絡を行ったりするのは非常に手間です。
それでも、親族のためきちんと喪に服し、ゲストにも気持ちよく出席してもらうには、できる限り延長の方向で動きましょう。まずは、不幸があったらすぐに式場へと連絡を入れます。そして、事情を詳しく説明したうえで日程調整を行いましょう。
ここで注意したいのは、「故人の遺志だから」と無理やり決行してしまわないことです。確かに、故人が結婚式を延期しないでほしいと願っていたケースはあるでしょう。
しかし、結婚式とはカップルの独断で押し通せるイベントではありません。決行が故人の遺志だったとしても、親族の中には喪中を重要視する人もいます。近しい親族に相談したうえで、決行の反対者が多いようなら結婚式を延期するのが得策でしょう。
そして、すでにゲストへと招待状を送ってしまっているなら、早急に連絡しなおさなければいけません。失礼のないよう、連絡も書面で行うようにしましょう。なお、内容は「身内に不幸があり」と詳しく述べる必要はありません。
そのかわり、「いたし方のない事情で延期する運びとなりました」とだけ伝えておけば、ほとんどのゲストは察してくれます。
もしも無理に結婚式を決行したとしても、心情的に後悔することになる恐れがあるでしょう。親族が亡くなって葬儀を終えると、今度は四十九日の法要を迎えます。時期によっては新盆と重なりますし、やがて一周忌も訪れます。
あわただしく供養を行っていく中、とてもおめでたい気分に切り替えられないカップルもいるでしょう。スケジュールもせわしなくなるので、時期に関係なく不幸があったときの結婚式は延期するのが賢明です。
縁起をかつぐことや風習に従う重要性
喪中で結婚式を延期するのは、縁起をかつぐことを重視する日本古来の風習です。そのため、現代人のカップルには「非効率的」「必然性がわからない」と感じる瞬間もあるでしょう。
また、いくら親族が亡くなったとはいえ、楽しみにしていた結婚式が先送りになるのは寂しいものです。
しかし、結婚式は当人たちだけのイベントではありません。一緒に準備してくれる親族、駆けつけてくれるゲスト、すべての関係者によって支えられています。
誰かが少しでも嫌な印象を抱いてしまう結婚式なら、将来的に決行したことを悔やんでしまう危険があります。当人たちの考えとは異なっていても、縁起や風習を大切にする意味は大きいのです。
そもそも、日本では弔事や慶事に対する姿勢が地域によって千差万別です。ある地域では喪中をそれほど気にしていなくても、別の地域では重大な期間として捉えています。
結婚では異なる価値観を持つ人々が新しく親族となるため、うっかりすると価値観の衝突が起こってしまいかねません。そのため、周囲にも気を配り「不謹慎」と思われないよう、結婚式を強引にとり行わないのが無難です。
そして、喪中が明けるまではおめでたいと世間に思われるような行動を控えるようにします。入籍だけでも済ませておくのはお祝い事にあたらないものの、やはり堂々と公言するのは避けましょう。
「お祝い事」の解釈はさまざまです。人によっては入籍の時点で非常識に映るため、ごく近しい人間への報告だけに留めましょう。
喪中の場合は結婚式を延期するほうが無難
結婚式直前で身内に不幸があった場合でも、延期するのが無難です。もしも無理に結婚式を行ってしまうと、ご新郎ご新婦に悪い印象を持つ人が出てくることがあります。
親戚同士のトラブルなどが起これば、両家の関係にも影響しかねません。当人たちや近しい親族が良くてもすべての人が認めてくれるわけではないので、喪に服している間はお祝い事を避けるようにしましょう。