婚約指輪はブライダルにはつきもので、女性にとっての憧れのように扱われています。むろん、婚約期間中に身につけたいと望む人はたくさんいます。しかし、その一方で「婚約指輪はいりません」と前もって伝えられて、どうしたらよいのか思い悩んでしまう男性も少なくないようです。そこで、女性から婚約指輪はいらないといわれた場合の対処法について紹介していきます。
婚約指輪に込められた意味を知っておこう!
そもそも指輪の歴史はとても長く、そのルーツは遥か古代ギリシャや古代エジプトまでさかのぼることができるほどです。
その当時、指輪は神秘的なパワーが宿るものとされていたので、魔除けやお守りとして使われたり、権威のシンボルとしても用いられたりしていました。
婚約指輪(エンゲージリング)の由来となっているのは、紀元前1世紀のローマでおこなわれるようになったセレモニーです。その頃、婚約するときには、相手に鉄の輪を贈っていました。
当時のローマでは、結婚そのものよりも婚約が重要視されていたので、契約の意味合いも込められていたのでしょう。婚約に際して証としてプレゼントした鉄の輪は、権威の象徴でもありました。
ときが流れ、15世紀に入ってからのことです。ハプスブルク家のマキシミリアン大帝が婚約者マリアに贈った婚約指輪がダイヤモンドでした。
史実に残っているものとしては、これがダイヤモンドのリングが婚約指輪として贈られた最初の出来事です。
ダイヤモンドは天然の鉱物の中ではいちばん硬い物質なので、永遠の絆や約束をイメージさせます。結婚の約束の証ともいえる婚約指輪を飾るにふさわしい宝石として、世の中から受け入れられることになっていったのでしょう。
また、婚約指輪は左手の薬指につけますが、これにも理由があります。左手の薬指と心臓とは、静脈でつながっていると信じられていました。
心臓からは愛のパワーが流れ出てくるため、そこと直接結びついている左手の薬指に指輪という途切れのない円をはめることは、永遠の愛への祈りが込められているのです。
なお、日本に婚約指輪を贈る習慣が一般的になったのは高度経済成長期に入り、昭和30年代半ば以降になってからのことです。
1961年に宝石の輸入が完全自由化されたので、ダイヤモンドの輸入制限もなくなりました。その後、ダイヤモンド供給会社が婚約指輪のキャンペーンを大々的におこなったことが後押しとなり、世の中に定着していきました。
以降、婚約指輪はプロポーズするときなど、婚約に際して男性から女性に贈られ、結婚の約束や結婚に対する二人の決意のシンボルになっているのです。
「婚約指輪はいらない」は本音?
将来結婚したいと考えている相手から、婚約指輪はいらないとの意思を伝えられたとします。もし、それが本音だとしたら、いったいどのような理由からその言葉が発せられたのでしょうか。
そもそも、その言葉を鵜呑みにしてもいいのでしょうか。大手の結婚情報誌がおこなっているトレンド調査によると、複数回答可のアンケート調査では約50%の回答者が昔から憧れていたと答えています。
しかし、婚約指輪はいらないという方向の回答を選んでいる人も、実際にいることが分かります。
主な理由は3つあり、その1つはズバリ、婚約指輪にお金をかけるのはもったいないという考えです。
婚約指輪にたくさんの費用を当てるよりも、結婚式を盛大にしたいと望む声があります。新婚旅行の予算を増やして、豪華なプランを組んだほうがいいという人もいるでしょう。
また、結婚して新しい生活を始めるにあたっては、なにかと物入りになるのが一般的です。新居の家具や電化製品にお金をかけたい人も多いようです。
2つ目は、婚約指輪を身につける機会が少ないからという理由です。婚約指輪にはダイヤモンドの立て爪など、ゴージャスなデザインのリングが選ばれることが多くなっています。
高いお金を出して豪華な指輪を買ってもらっても、普段身につけるわけにはいきません。オフィスでも浮いてしまいかねませんし、ましてや、家事をするときなど論外です。特別な日のよそゆき用の装いとして使われるだけになりそうです。
実際に、せっかくの婚約指輪が、タンスの引き出しの中にしまわれたままになっているという話を、耳にしたことがある人も多いでしょう。実用的ではないことは、不必要だと考える人もいるのです。
3つ目の理由は、高価なものなので、もらうのを申し訳ないと考えるパターンです。トレンド調査のアンケートでも、約25%の回答者がそのように感じていました。
婚約指輪には宝石が使われているリングが一般的なので、けっして安い買い物ではありません。パートナーに高額の費用を負担させてしまうことに引け目を感じたり、遠慮したりするのです。
このように、経済的な理由から、婚約指輪はいらないという結論を導いている場合もあります。
ただ、婚約指輪をもらわないと決めて、指輪にあてる予算を別の目的に活用できた人で、後になってから気持ちが変わったというケースも報告されています。
婚約当時には指輪の必要性など全く感じていなかったのに、婚約の記念を形として残しておけばよかったと後悔してしまう女性も少なくはないようです。
自分自身で判断してベストだと思っていたことでも、数年たってから考えが変わってしまうこともあるので、婚約指輪を贈るか贈らないかは、デリケートな問題ともいえそうです。
相手の本心を知るための方法とは?
婚約指輪は、これから始まる長い結婚生活を一緒に過ごすふたりにとって、本来とても重要な意味を持つ指輪です。
その婚約指輪をいらないと告げられた場合、もし、本当に心の底から不要だと思っているのならば問題はありません。
二人で話し合って決めたのならば、婚約指輪を贈らないという選択肢もありえるでしょう。しかし、口ではいらないと言ったとしても、本心からの言葉ではないことも考えられます。
本当は欲しいのに、パートナーに金銭的な負担をかけたくないという思いやりや遠慮から、いらないと伝えた可能性も否定できません。ですから、それが相手の揺らぎない本心なのかを、慎重に見極める必要が出てきます。
たとえ相手からいらないと言われても、自分はどうしても婚約指輪を贈りたいと思っているのだと伝えてみましょう。
もし、身に着ける機会が少ないという理由からいらないと言っている場合は、着けなくてもいいから婚約のけじめとして贈らせてほしいと言ってみます。
また、デートの途中に二人でふらっとジュエリーショップに立ち寄ってみるのも、よいアイデアです。ゆっくりと時間をかけて楽しみながらジュエリーショップ巡りをし、いろいろなリングを見学したり、実際に指にはめて試着したりしてみます。
たくさんのデザインに触れるうちに婚約指輪に関するイメージも変化するでしょうし、価格も案外リーズナブルなリングもあるものです。
一緒に見ているうちに、気に入った指輪と巡り会えることもあるでしょう。婚約指輪は贈る側の立場からしても、一人で選ぶことは難しいものです。
そのような理由からも、二人で一緒にジュエリーショップに行き、好みのデザインを自分で選んでもらえるメリットは大きいのではないでしょうか。
いずれにせよ、アクションを起こしたときのパートナーの様子を、注意深く観察することを忘れてはいけません。
相手の反応から、本当にいらないと思っているのか遠慮しているのかが、見えてくる可能性が高くなります。
もう1つの方法としては、プロポーズのときには指輪ではなく別のプレゼントを渡し、後日あらためて二人でジュエリーショップに行って一緒に選ぶという提案をしてみるのもいいでしょう。
婚約指輪は、必ずしもプロポーズする際に渡さなければならないわけではありません。2018年のトレンド調査の全国推定値では、プロポーズのときに婚約指輪を受け取ったと答えた人は41.1%でした。
約6割弱の人は、プロポーズとは別の機会に指輪を贈ったことになります。時間をおいてからもう一度、婚約指輪の件を促してみると、彼女の本音が垣間見えるのではないでしょうか。
婚約指輪を買わない場合の代替案とは?
婚約指輪を買わないという選択をした場合でも、プロポーズの際にはなにかプレゼントをしたいと考える人が多いでしょう。
そのようなケースでの代替案ですが、人気の高いものでは花束があります。映画やドラマに出てくるプロポーズのシーンでも、主人公が愛する女性に花束を差し出しながら結婚を申し込む場面も多く見られるでしょう。
彼女の好きな花を知っているなら、花屋へ行ってその種類の花束を作ってもらうことができます。とくに心当たりがない場合は、好きな色や花言葉を参考にして選んでみても良いでしょう。
指輪以外のアクセサリーを贈るのもおすすめです。指輪を着けることを好まない人もいるので、そのような場合には婚約指輪をプレゼントするよりもかえって喜んでもらえるでしょう。
ピアス、ネックレス、ブレスレットなどがありますが、ピアスを着けるためには耳たぶにピアスホールを空けていることが条件となります。
ピアスホールが無い人が耳につけるアクセサリーはイヤリングですので、プレゼントする前に確認しましょう。
指輪以外のアクセサリーにもサイズはありますが、指輪ほど正確に測る必要はありません。
もちろん素材やデザインにもよりますが、ネックレスやブレスレットの場合は長さを調節できることがほとんどです。心配であれば、ショップの店員に尋ねるておくと安心です。
ダイヤモンドをプレゼントするのもトレンドになっています。贈ったダイヤモンドを使って、後日、指輪を作ることも可能です。普段からファッションへの関心度が高く、婚約指輪のデザインにもこだわりを持っているパートナーへはおすすめです。
持ち込みの宝石を使ってオリジナルのリングを制作してくれる工房があるので、アーム用に好きな素材を選んで、世界に一つだけの婚約指輪を作ることもできます。
もちろん指輪に限らず、ダイヤモンドを使ったペンダントヘッドを作ったり、ピアスに加工したりすることも可能です。
また、婚約指輪を用意しない分、結婚指輪(マリッジリング)に力を入れるという選択肢もあります。
男性用と女性用が同じ素材で同じデザインの結婚指輪がスタンダードですが、結婚指輪としてペアで販売されていてもデザイン違いになっているタイプもあります。
男性用はシンプルなフォルムのリングですが、女性用は一粒ダイヤモンドがフラットに埋め込まれているタイプやエタニティリングなどです。
エタニティリングは、同じサイズの宝石がリングのアームの周囲に並べられているデザインです。華やかなのに落ち着いた印象なので、普段使いにも向いています。
婚約指輪を贈らない場合の注意点
婚約の約束のしるしとして贈る婚約指輪ですが、いらないと言われた場合には無理に送る必要はありません。宝石の付いた指輪を身につける機会は、生活の中でそれほどないことも事実です。
しかし、結婚前の両家での挨拶の席や祝い事に出席するときなど、大切なイベントの際に婚約指輪は大きな役割を果たしてくれるものです。
周りの女性たちが婚約指輪を身につけている中で自分一人が着けていなかったとしたら、世間の目が気になってしまうことも考えられます。
婚約したときには必要ないと言っていたのに、数年たってから「実は欲しかった」といわれてしまう可能性も否めません。
以前はいらないと思っていたのに気が変わって欲しくなるケースもありますし、本当は欲しいと思っていたのに、パートナーに遠慮してしまって言い出せなかったというケースの両方が起こりえます。
さらに、既婚者を対象とした複数のアンケート結果では、婚約指輪を購入した夫婦のほうが、しなかった夫婦よりも関係が良好であることも分かっています。
たとえば、ケンカが少ない、会話が多いなどの質問への回答者の割合が多くなっているのです。
さらに、婚約指輪を贈った、もしくは、贈られた人の中で結婚生活が続いている人数の割合は、婚約指輪を贈らなかった、もしくは、贈られなかった人の中で結婚生活が続いている人数の割合よりも格段に高いという結果です。
つまりは、婚約指輪を購入したカップルのほうが、しなかったカップルよりも離婚率が少ないということになります。
婚約指輪はマストではありませんが、贈らないという選択にはいくつかのリスクがともなうこともあるようです。ですから、本当にいらないのかをしっかりと確認し、婚約指輪を贈らない場合には別のプレゼントを用意するなどの対策が重要だといえるでしょう。
後悔しない決断をしよう!
一般的に、プロポーズをしてから二人の意思を確かめ合って挙式を迎えるまでの婚約期間は、それほど長いものではありません。
しかし、一生に一度しかない大切な日々であることもまた、紛れもない事実なのです。数年たってから当時のことを振り返ってみて、後悔することのないように、パートナーの本心を慎重に見極めることが重要です。